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五十肩、いと辛し [新譜]

Clock Unwound / GENTLE KNIFE / 2017
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こーれは大変に素ー晴らしー!
ノルウェーの11人組(多いなw)が放つ2枚目はアルバム全編のどこを切り取っても
これぞプログレ、と聴き手を感嘆せしめる完成度です。
パッと見メンバーの年齢には相当幅があるようで、
ちょっと調べてみたら上は63歳から下は25歳ですって。
いやいやいや、全然良いことだと思います。
世代を跨いで音楽の価値観を共有し
なお且つアウトプット出来ているというのは実に幸せなことです。

で、そうした大所帯が渾然一体となって繰り出すアンサンブル
整合感に満ち満ちた隙のないもので、
バンド全員でワッと盛り上げる場面においても決してガチャガチャしないのは
編曲が良く練られていることの証左でありましょう。
概ね不穏で幻惑的な雰囲気が支配する楽曲は緊張と弛緩を自在に往来し、
聴き手の情感を揺さぶり続けます。



どれもこれも良い曲ばかりで、アルバム6曲トータル約55分を一気に聴かせます。
全般に漲る昂揚感は些か常軌を逸してさえいますが、
これも演奏者達の並々ならぬ熱意の発露かと思われます。

そして出音はややオールドスタイル寄り。これは意図的なものでしょう。
例えばアルバム終曲の後半でギタリストが聴かせた
(恐らくは北欧ブラックメタル由来の)トレモロサウンド
かなり大人しく上品な仕上がりですが、
結果としてちょっと面白いアウトプットになっているのが興味深いところです。
この手で僕が割と問題視するギターのメタル成分はほぼ皆無と言って良く、
その点においても個人的評価は高いです。

まぁなにしろ、こういうのを聴くにつけやっぱりプログレっていいよねぇ。
今年前半のベストはTHE NIGHT FLIGHT ORCHESTRAで決まりだと思っていたところ
俄然本作が喰い込んで来ました。どっちが一番かは決めませんけれども。



House of the Mind / COMEDY OF ERRORS / 2017
House of the Mind

House of the Mind



'11年に活動を再開して以降きっちり2年毎にアルバムの枚数を重ねての4作目。
トータルでは(フルアルバムとしては)5枚目ってことになるんですかね。
'90年リリースの1stアルバムは僕、見たことすらないですけれど。

なんか前作についてちょっと書いたような気がしたのですが
'15年12月1日のなげやりなエントリーにリンクを貼っただけでバンド名すら書いておらず、
こういう不親切さはあんまり良くないなぁと少しく反省した次第です。

で、本作も前作からの流れにほぼ沿った安心のポンプロックであります…が!
なんかねぇ、アルバム本編の最後を飾る“Song of Wandering Jacomus”って長尺曲が
VANGELISみたいなオープニングからMOON SAFARIっぽいコーラスを経て
THE ENID張りのオーケストレーションになだれ込むという…
なんかちょっと何を書いているのか自分でも訳が分からなくなってきますが(苦笑)。
これがねぇ、これが意外とイケてるんだな。
結果としてちゃんとこの人達なりの個性として昇華されているのがなにより立派で、
この曲はバンドのエポックとなりうる1曲であると、僕はそう思いました。





今月はプログレ新譜に良いアルバム多し。善き哉。

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まぁホレ、いつもの妄想評でございますよ [新譜]

1943年生まれ、ってことは今年74歳ですか。
…凄いな。
そんな年齢になってもまだ世の中に対して怒ることがあるんですね。
この人の場合、'77年にステージから客に向かって唾を吐いて以降
基本的にずーっとナニかに対して怒っているもんな。
大体怒るのって物凄くエネルギーを消費するじゃないですか。
ですから40年もの間怒り続けるってのは
物凄く疲れちゃうんじゃないかと思うのですが、なんというか
この人の胆力は底なしなのかも知れんと、
そんな畏敬の念を抱かずにはおれません。

Is This the Life We Really Want ? / ROGER WATERS / 2017


バンドと袂を別って以降、Roger Watersの曲作りってのは
物凄い葛藤にまみれた作業だったのではないかと想像します。
'80年代半ばまでPINK FLOYDの(平坦な)歌メロを担った自負は大きく、
当然Dave Gilmour的な楽曲からは絶対に距離を置きたい。
とは言っても2人の音楽的な根っ子は相当に近く、
実際そんなに大きな差異は産み出せない…。
元々そんなに多彩なメロディを持っている人ではないしね。
方や暖簾を守って
アリーナバンドとしての役割を全うするPINK FLOYDを横目に
この人はいよいよその偏屈さを増し、
重箱の隅を突くような細かい拘りでもって曲を書いていたのだと思うと
なんだかちょっと鬼気迫るものを感じてしまう僕です。

これまでのソロアルバム3作においては
とにかくDave Gilmourより凄いギタリストに弾かせるんじゃ!
という怨念(?)からEric Clapton、Andy Fairweather Low、
そしてJeff Beckがそれぞれのアルバムに起用されました。
まぁねぇ、気持ちは分からんでもありません。
3人とも記名性の高い演奏家であり、
また自分がRoger Watersのソロ作に呼ばれた意味を
ちゃんと理解していたであろうことが伺えます。
アルバムのベクトル(と、セールスポイント)に寄与する部分は大きく、
各タイトルの個性とニアリーイコールであったというのは…
まぁそれはちょっと言い過ぎかも知れませんが。

然るに、本作で取り沙汰された名前はNigel Godrich。
RADIOHEADのプロデューサーって言われても、正直僕は良く分かりません。
なんか結構小うるさいタイプの人みたいで、
どんな相手でも思ったことは言うよ?的な。
で、このNigel GodrichがRoger Watersに言ったんでしょうねぇ。
もう、いい加減意地張るのやめなよ、って。
お前の作るアルバムがPINK FLOYDに似ていても誰も困らないし、
そもそもそんなに遠く離れた所へ辿り着けやしないのは自分でも分かっている筈だ、と。

これを要するに「無駄な差別化の排除」ですね。
Roger Watersにとって、これはある意味物凄い福音であったと思われます。



結果“The Endless River”('14)よりも
よっぽどPINK FLOYDっぽいアルバムが出来あがっちゃった訳で(笑)、
僕はこれ、開き直りの極致がもたらした小さな勝利だと思います。
と同時に、相変わらず思わせぶりで気難しくて
とにかく面倒臭いRoger Watersが全編で最前面に出ている点で
最もソロアルバムらしいソロアルバムであるとも言えましょう。

これはねぇ、これは単純にアリだよ。

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間違いないとか、そういう生易しいレベルの話ではありませんでした [新譜]

Amber Galactic / THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA / 2017
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多分こっちのジャケットがデジパック版ってことかと
(絵違いのものは通常のプラケ版だと思われます)。
デジパックの方が1曲多く収録されているらしいです。

3枚目にしてとんでもないのを作っちゃいましたね。
もはやハードロックですらない曲が当然の如く繰り出されます。
6曲目の“Domino”辺りはその典型で、'70年代後半の
ヨーロピアンディスコの発掘曲だって言われてもそんなに違和感ないもの。
Sharlee D'Angeloのベースが実に巧くて雰囲気抜群。
こういう演奏も出来るんだなぁ。やっぱり凄いやこの人は。



また、“Domino”ほど露骨ではないにせよ



こんな曲が当たり前のようにバンバン出てきます。
これを要するに、楽曲をより充実させるため
ジャンルの壁を今一歩踏み越えたのだと、僕はそう解釈しました。
英断だと思います。とにかく本作は全曲が素晴らしい。
どの曲もサビメロが練りに練られていて、アレンジも非常に凝っていますから
どこを切ってもクラシックロックの一番おいしいところが味わえる。
デビュー作からじわじわここまで寄せてきたバンドの努力、胆力たるや。
次作にはベッタベタのバラードが収録されることを強く望む僕です。

そしてバンドメンバーの由縁からではありましょうけれど、
Nuclear Blast Recordsが本作を猛プッシュしているのは大変頼もしく、
実際ヨーロッパでは結構売れるんだろうな。
'17年上半期、新譜のベストはほぼこれで決まりじゃないですかねぇ。
文句ナシ、呆れるほどの完成度を誇る白眉の大傑作。



一刻も早く書いておきたくて急遽エントリーしたので今日はこれだけです。
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ガチガチとフニャフニャ [新譜]

案の定、AVATARIUMには飽きちゃったらしい(?)Leif Edling。
バンド自体は存続する意向のため(そろそろ新譜が出るんじゃなかったっけ)
円満に離脱した後、去年後半辺りから新しく始めたのが

Doomsday Kingdom / DOOMSDAY KINGDOM / 2017


まぁ言うてもギターはMarcus Jidellですし、
アウトプットの地続き感はありありです。



勿論このバンド(?)最大の目玉はNiklas Stalvindのボーカルであります。
誰が何と言おうとこの点は譲りませぬ。
いやー、まさかCANDLEMASSとWOLFが合体するとは夢にも思わなんだよなぁ。
これは僕にとってハンバーグとカレーライスが一緒の食卓に並んだようなもので
(例えが子供で申し訳ありませんw)、こんなもん飛びつくに決まってるわいな。

AVATARIUMに比してはスパルタンなメタル感で大きく勝り、
サイケデリックな夢想感にはやや欠けるといった趣。
それ程にNiklas Stalvindの歌声が凶暴であるということですな。
数多あるLeif Edling関連作ですが
こういうスタイルの歌い手を擁したのはこれが初めてで、
とにかく有無をも言わさぬカッコ良さでありますことよ。
因みにサイケデリックな夢想感についてはこれを補うために
Carl Westholmを呼んできて鄙びたインストゥルメンタルを録音しております。
まぁこれもサイケというよりはユーロプログレって感じですが。

ーしかしですね。
いずれにせよ所謂ドゥームメタルの範疇を大きく逸脱する音ではありませんから
我が国での評価が限定的な範囲にとどまることは想像に難くなく、
なんでこの手のヤツって日本で人気ないんでしょうね。
ほんと、勿体ないよね。



-脈絡なくもう1枚。
概ねの印象はポストロック的なアレなので
DOOMSDAY KINGDOMと並べるのはナシかなぁ、と躊躇もしたのですが
同じ北欧(こちらはフィンランド)だし、まあイイかと(笑)。

Ruination / KAIRON; IRSE! / 2017
Ruination (Digipack)

Ruination (Digipack)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Svartekunst
  • 発売日: 2017/02/03
  • メディア: CD


これは2枚目とのことで、毎度寡聞にして存じ上げませんでした。
フォーリズム(バンドも4人組)を基本としつつ
バイオリン(ベース+ボーカルの兼務)や
客演のサックス(+クラリネット)を駆使して
長尺曲を千変万化させる腕前は実に確かなものです。
殊に軽重のコントラストで楽曲を特徴づけるのが得意なようです。



上掲はアルバム中最も平坦且つ抒情味に富んだ曲で、
しかもポストロック成分が薄いですから
本作を表すのに不適当なチョイスであることは間違いないでしょう。
でもさぁ、これ凄くいい曲なんだもん。一応アルバムタイトル曲だしね。
こういう曲をやってもシューゲイザーっぽく聴こえないのは
結構面白い個性だと思うのですが、いや、やっぱり気のせいかもしれません。

うーん、なかなかに評価軸の定めにくいバンドです。
聴き手の好悪も分かれるタイプですよね、こういうのって。
この正体不明感を楽しめるなら凄くハマると思います。

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最近のおやつはもっぱら芋けんぴ [新譜]

孤独のグルメ(たま~にしか見ない)新シーズンの制作発表で
松重豊が喋っておりましたが、この人は受け答えが面白いですね。
いちいち気が利いている。
以前何かのTV番組で福岡の出身であること、
いわゆる「めんたいロック」の洗礼を受けたが
自分は楽器が弾けないのでミュージシャンになれないと落胆していたところ
石井聰亙(なんか暫く前に改名したらしいですね)の映画に触れ、
役者という職業にもロックは出来るのだと思ってその道を目指したと話しておりました。
なる程合点のいくエピソードです。

僕が松重豊という役者に注目したのは2004年。
こちらも今をときめく高橋一生主演、清水崇と豊島圭介の企画による
TV東京の深夜ドラマ「怪奇大家族」への客演でありました。
このドラマはねぇ、機会があれば一度みておくべきだと思います。
だって、まだ20代半ばの高橋一生がブリーフ一丁で
深夜郊外の住宅街を徘徊したりするんですよ(笑)。
脇がまた良くて、モロ師岡に室井滋、藤村俊二(R.I.P.)に石井トミコだもの。
こんなの、面白いに決まっているじゃないですか。

松重が出演したのは第8怪「実録 ! 仁義の冥土」(監督は豊島圭介)。
スナック「まあ冥土」のマスターにして
無縁仏(死体)ヤクザの「メメント森」を演じました。
これがもうとにかく非常にくだらないお話でありまして、
それなのに役者が皆本気で演るもんだから見ている方はどんどん感情移入してしまう。
なんかね、見終わった後悔しい気分になるんですよ。
畜生、乗せられちゃったよ!って。
それ程に演技の力は大きく、こりゃあ只者ではないと思った次第です。

…なんでこんなこと長々書いてるんだ僕は。



Glitter / HEAVY TIGER / 2017
Glitter

Glitter



昨日届きました。ザッと3回ほど流して聴きました。
全11曲33分、暴風並みにカッ飛ばすやさぐれスケ番ロックは本作でも健在です。
キャリアを重ねライブの数をこなしたことで
アンサンブルは相当タイトになったのではないかと推察されます。



ん、滅茶苦茶カッコイイ。
やっぱりこの手のロケンロールにはビブラスラップを鳴らしたくなるよね。
'14年の来日に触発されたと思しき“No Tears in Tokyo”なんて
曲も収録されておりまして、まぁまぁ嬉しいことでございますな。
そしてアルバム2曲目“Feline Feeling”は白眉の名曲であると書き加えておきます。

これ、BLACK STAR RIDERSとパッケージで呼んだりしたら
我が国でも人気爆発しそうな気もするんですが、まぁムリなんだろうなぁ。



もう1枚。
Let Me Fly / MIKE + THE MECHANICS / 2017
Let Me Fly

Let Me Fly

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Imports
  • 発売日: 2017/04/07
  • メディア: CD


前作からは…6年か。概ね順調なサイクルで出たって感じですね。



うん、Mike Rutherfordはこれでいいのだ。
前作にPaul Carrackの名前がなかったことで一部厳しい評もあったようですが、
基本Mike Rutherfordはなんも変わっていない訳で
この人らしいメロディをだだ漏らしてくれれば僕はそれで充分満足です。



えー、結局枕が一番長いという(苦笑)。

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実は今月CDをあんまり買っていないのです [新譜]

Future Hopes / WHITE WILLOW / 2017
Future Hopes

Future Hopes



やっぱりそろそろOPIUM CARTELとの差別化が難しくなってきたかなぁ…
と、アルバムの頭2曲を聴いて思ってしまった僕は実に浅はかでした。
演奏者もかなり被っているし、まぁそんなもんかと高を括っていたのですが
3曲目の長尺曲で様相は一変、めくるめくプログレ世界が突如現れるので
かなりびっくりしました。そして2分に満たない間奏曲的インストゥルメンタルを挟んだ後
またもや弩級のプログレ曲が(こちらは幾らかポストロック的な要素も含みつつ)
炸裂します。これは確かにWHITE WILLOWの名前でやるべき音楽で
ちゃんと切り分けて曲を書いたJacob Holm-Lupoは大したものです。
冒頭曲についてもよくよく聴き直してみるとリズムの力強さは
OPIUM CARTELや、ひいてはWHITE WILLOWの前作とも明確に違うもので
要するに切り口が曖昧だったのは2曲目だけなのね。

本作の録音はややローファイ寄りですが、これは意図的にそうしたのではありますまいか。
Jacob Holm-Lupoと客演のギターは歪ませ方がウェット過ぎて音がペラペラですが
Ellen Andrea Wangの太く重たいベースによるフォローが素晴らしく、
またLars Fredrik Froislieの鍵盤も相変わらず抜群なので
トータルのバンドサウンドとしては実に良い塩梅で成立しています。
結果としてやや古臭いロック感を醸し出すことに成功していて、
うん、これはやっぱり計算尽くな気がしますねぇ。

SCORPIONS(しかも“Animal Magnetism”なんてぇ微妙な曲)をカバーするという
謎なセンスもこの人達の個性なのだろうと前向きに捉えつつ、
結論としてこれは大変良いアルバムであると。
ジャケットをRoger Deanに描かせたのだけは
(飽くまで僕個人的には)ちょっと蛇足だったかなぁと思いましたが。



We are Now / C-SIDES
We Are Now

We Are Now

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Imports
  • 発売日: 2017/04/07
  • メディア: CD


うーん、これはなかなかに僕好みなヤツですぞ。
本作は2枚目のアルバムだそうですが、
最初出てきた時にはあんまり話題にならなかったのですかね。
僕は当然の如く知らなかった訳で、なんだかちょっと損をした気分です。
ズバリ、KING'S Xを英国的解釈で再構築した音というのが
僕の見立てでありますが、これ、そんなに的外れではないと思います。



典型的なシンフォニックロックとは趣を異にする部分が大きいので
やっぱり我が国での評価は限定的なものになっちゃうのかなぁ。
今どきのイギリスのバンドながらポストロック的な音響に接近することなく
ブルースベースのロックとがっぷり四つに組む姿勢は
とても痛快だと思うのですがねぇ。

まぁまぁ、
通好みのバンドってことで落ち着いてしまうことは想像に難くなく、
ならばせめて息の長い活動が出来ますようにと願う僕であります。



今年のGWは久し振りに映画DVDを纏めて見ようと思っています。
特にコレ!ってのがある訳ではないので適当に摘む感じになりますが。

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やけに英国産が豊作の春 [新譜]

特に前者はPaul Menelと立て続けに出たなぁって感じですが、
前作もリリース時期はほぼ被っていたので
まぁそういうサイクルだってことなんでしょう。

Honey on the Razors Edge / ALAN REED / 2017
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これ…かなり凄いです。
いやー、ここまで絢爛豪華なサウンドを突き詰めてくるとは。
おおおぅ、ポンプロックでなにが悪い!?
的な開き直りが徹頭徹尾貫かれていて大変小気味の良いアルバムです。
各曲はコンパクトでそれ程の尺はないものの
それぞれアレンジが良く練られていて全体的に音の密度は非常に高い印象。

しかしよくよく考えてみればこの人のやってきた音楽は
PALLASの“The Wedge”('86)以降常にその延長線上にあって
そこから外れたことは一度もないと、(ちょっと乱暴ながら)僕はそう思うのです。
で、本作もまさしくその系譜を継いで非常に完成度の高い1枚に仕上がっています。

そしてこのアルバム、地味に豪華な面子を迎えて録音されていますが
2曲目“Razor”でハーモニカを吹いたSteve Hackettよりも、
Leodeを持ち込んで独特の音色を響かせたLAZULIのClaude Leonettiよりも
前作に引き続き全編で鍵盤を弾いたMike Stobbieの貢献度が高いと思います。
Alan Reedの目指すポンプサウンドをアウトプットするに当たって
Mike Stobbieの果たす役割は相当大きいのではないかと。
共にPALLASを出奔した2人ですが、正直今のPALLASよりこっちの方が良い気がします。
しかし6曲目“The Covenanter”の最後にちょろっと弾いたピアノのフレーズは
ほくそ笑んで聴けば良いのかどうなのか…ちょっと悩むところであります。
毎度面倒なので不親切にも何のフレーズかは説明しませんが、
やっぱりイギリス人のシニカルなアレだと思っておけばいいのかなぁ。


※流血します。苦手な方は閲覧ご注意を。

んー、ビデオ作るならこの曲じゃなくてもいい気がするけど
やっぱり客演に気を遣ったってことなのでしょうかねぇ。

いやこれはしかし、いずれにしても必聴作ではあるね。



Tardigrades Will Inherit the Earth / THE MUTE GODS / 2017
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デビュー作から1年、実に順調なペースでリリースされた2枚目。
これはどうやらパーマネントなバンドとしてやっていくと、
そういうことでいいのかしらん?

ともかくこれを聴いて僕は確信した訳ですよ。
ズバリ、このバンドの肝はNick Beggsのボーカルであると。
インストゥルメントの演奏は相当ハードなことをやっていたりするのだけれど、
それをオブラートで包むが如く印象を和らげて
ポップ方向にじわりと寄せる効果はことの他大きく、
それがバンドの特徴になっていると思います。



うーん、柔らかい声に比してベースの出音は随分と硬質ですな。
元KAJAGOOGOOだって言われても俄かには信じがたいくらい。
そもそもこっちでは全くンペンぺやらないしね。
あー、そういえばKAJAGOOGOOってギターもベースも
何故かKramerのアルミネックを弾いてたなぁ…などとどうでもいい思い出話を交えつつ。

前作に引き続きデジパック盤は1曲多く収録されているんですって。



加えてTHIS WINTER MACHINEもMOSTLY AUTUMNも
良かったですよ(このぞんざいなまとめ方w)、ってことで今日のタイトル。
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温い寒い寒い温い…みたいなのは老体に堪えるのだ [新譜]

あ、そう言えばさぁ、
1月11日のエントリーに書いたRUSH“2112”40周年盤のオマケDVDの件。
僕はTerry Brownのお姿を初めて拝見した訳ですが、
これが個人的に思い描いてたイメージそのもの過ぎてちょっと笑っちゃったのです。
聡明で寛大な紳士、しかし己の興味の向く部分については病的なまでの拘りと執着。
この人とRUSHの相性が抜群だったのは、これは当然にして必然だったんだなぁ。

-などという導入から全く繋がりのない本文へ。いつものことではありますが。



Can't Go Home / UNRULY CHILD / 2017
キャント・ゴー・ホーム

キャント・ゴー・ホーム



コレちょっと凄ぇな、と感嘆いたしました。

前作“Worlds Collide”(2010)も良いアルバムではありましたが
Marcie Freeを復帰させるに当たって些かおっかなびっくり、
探り探り作られた感がありました。
具体的には各楽曲のベクトルにややバラつきがあって
これは手練れた職業ミュージシャンにはありがちなことなのかも知れませんが
どんな聴き手にも対応出来ちゃう小器用さみたいなものが
裏目に出た結果だろうと思います。

-然るに。
今作は被写界深度無しで元々バンドが標榜したスタイルにのみ
1mm.の狂いもなくフォーカスして来ました。
ここまでガチガチにピントを合わせられる作曲やアレンジ、
そして演奏技術はもはや名人芸の域にあるものと考えます。
余りに隙がなさ過ぎて逆にちょっと窮屈さを感じることすらありますが
これは聴き手が望んだことでもありますから、まぁ仕方がないわねぇ。



Frontiers Musicはこの新譜から既に4曲のサンプルをアップしていますが
全編で凝りに凝った重層コーラスが印象的なコレを貼ってみます。



恐らく、割とサラッとライブでも再現されてしまうことが予想され、
しかしそれにしてもMarcie Freeはホント歌上手ぇな。
あんまり年齢のことを言ってはアレですが
還暦はとうに過ぎてますからね、この人。

巷間、本作は相当良い評価を得ると思います。あわよくば売れて欲しいです。
このバンドが来日、なんてことになったら僕はちょっと見てみたい。
チッタ一晩くらいなら余裕で埋まる気がするんですが、どうなんでしょうね。

そして蛇足ながら。
当方'12年9月13日のエントリーを関連として挙げておきます。

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今年は初っ端から良いアルバムが多くて嬉しい [新譜]

いつの間にやらSYRON VANESの新譜が出ていました。
過去にEBONY RECORDS絡みのエントリーで名前を挙げ('12年3月8日)、
更には前作のPVを貼り('13年7月26日エントリー)…
実は僕、このバンドのことが結構好きなのかも知れません。

えっ!今作は国内盤が出てるの!?
「サイロン・ヴァンズ」ってカタカナ表記は
宇宙空母ギャラクティカの敵役(因みにこれの綴りは“Cylon”ね)が
スニーカー屋をやっているみたいで
なんかちょっとカッコ悪いですね(勿論いつもの嫌味ですよw)。



間違いなく前作の延長線上にあって、とても良くできたアルバムです。
途中活動休止期間があったものの'80年代初頭からやっているバンドなので
主要メンバー(ボーカルとギターの2人)はいい加減おっさんの筈なのに
アウトプットは完全に今どきのメタルサウンド
ノスタルジーには全く浸れませんが、逆にこの溌剌たる現役感は新鮮で好感度高し。
往時のB級感は皆無で、実に堂々たるメタルアルバムです。

Chaos from a Distance / SYRON VANES / 2017
Chaos From A Distance

Chaos From A Distance



しかし文句ナシにお薦めか?と問われればそこまでではないというのがなんとも。
凄くいいバンドなんだけれど、今の我が国においてはあんまり受けないでしょうねぇ。



-もう1枚、

La Fabbrica delle Nuvole / MAXOPHONE / 2017
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前回書いた通りまずは'13年チッタのライブを聴き直したのです。
リズムがややモタつく場面が散見(聴)され、
些かもどかしい気分になる演奏でしたが
管の不在をきちんとカバーしたSergio Lattuada(キーボード)と
昔日に劣らぬ歌声を披露したAlbert Ravasini(ボーカル / ギター)の
オリジナルメンバー2人は良かったです。

で、本作を録音したメンバーはこの公演で来日した面子と全く同じであります。

-と、中身の話に移る前にまずはジャケットについて。
これさぁ、これ100点満点中150点ってくらいに素晴らしいよねぇ。
僕のような者が想う、ユーロロックに対する憧憬とか郷愁といったものを
見事に具現化したようなアートワークで。
'75年1stアルバムのジャケットを踏襲した配色も嬉しいところで、
やっぱりこういう所にもきちんと心を砕いてモノを作るバンドってのは
信用に値すると思うのですよ。

実に42年振りとなる2ndアルバムは上記来日から数えても4年を経てのリリースです。
スタジオ録音なのでリズムがヨレる心配も無く、その辺安心して聴けます。
やはり生の管楽器が鳴らない点は大きく、
アンサンブルもフォーリズムを基本に(+一部バイオリン…これはドラムと兼任)
構成されていますから楽曲そのものの向かうベクトルにも当然影響が出ていますね。
ズバリ、AOR成分が幾らか増した印象です。
もともとポップミュージックの素養を持ったバンドでありましたから
聴いていてそれ程の違和感はありません。
一方では往時のジャズロック的プログレスタイルもきっちりこなしていますし、
Albert Ravasiniのボーカルも相変わらず良い。
これをして「老成した」と言うのが多分正解なのでしょう。
有り無しでジャッジするなら断然アリです。

-但し。
前作から空いた42年の空白を思い遣る態度が聴き手側に求められるというのも
また間違いのない事実でありまして、
こっちも大人にならないといけないってのは
僕のような永遠の厨二病にとって少しのストレスを強いるものであります。

…えーと。
うん、それでもね、これは紛うかたなきMAXOPHONEの新譜で
それに相応しい音楽が聴けるアルバムだと思います。
このバンドは1stアルバムが奇跡的に素晴らし過ぎたので
どうしてもハードルが高くなっちゃうのですが、
奇跡と比較するってのもせんかたない話だよなぁ、と、
僕はそう考えることにしました。ちょっとだけ大人の態度です(笑)。

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暦の神様、なぜか猫ジャケ [新譜]

Chascade / ITZAMNA / 2016


久々にジャケット見ただけで買っちゃったヤツ。
手に取って、ディテールをじっくりと眺めたくなる絵です。
コレ、当たりでした。
フランスの5人組、これがデビュー作となるようです。

アルバム冒頭はいなたいメロディのワルツで
鄙びた風情のB級シンフォを想起させますが、
聴き進めるうちにリズムが徐々に小技を混ぜてきます。
更にノイズエフェクトが効果的に挿入されるにつれ
ポストロック的な味わいも増してきます。



この辺(4曲目)はちょっとジャズロックっぽい感じがあって、
しかしメロディはやや垢抜けない分かりやすさを保ったままです。
あれぇ、これ、結構振れ幅広くね?
と、気付くのに時間が掛かるのはアルバム構成の巧妙さ故でありましょう。

一貫して夢見がちなメロディをリズムとエフェクト
(曲によって、或いは曲中エコーの掛かり具合に落差があるのは、
僕はこういうのは他であまり聴いたことがありません)で
様々な情景に仕立てていくといった趣。
しかし全体にとっ散らかった印象はなく、
最後まですんなりと聴かせます。
専任の歌い手を置かず、ほぼインストゥルメンタル主体であるのも
このバンドの必然なのでしょう。

アルバム終盤(11曲目)、“Red Dragon”で客演のMatthieu Romarin
(UNEVEN STRUCTUREというバンドの人だそうです)がグロウルしたのは、
まぁ、うん、なんらかの意図があったってことなのでしょう。
そしてアルバム終曲の後半に長い(と言っても約4分ほどですが)
無音部を挟むという些か古臭く、
聴き手をイラッとさせる手法をとったのも
まぁ、うん、なんらかの意図が以下略。

あー、なんかまたもや褒めてる感じがしない作文になっちゃったな。
いや、僕これ凄く気に入ったんですよ。
そもそも駄目だったヤツはここに書かないんですから。

こういう風に自然に、
シームレスなジャンルの跨ぎ方ができるバンドって
今後どんどん増えてくるんでしょうね。
ヘヴィメタルがどんどん些末なところまで
サブジャンルを細分化していったのとは全く逆で、
あらゆるものを包含してプログロックの一言で括っちゃうってのは
ちょっと面白いですよね。



フランスものでは他にSARCASMEの1st、“Mirage”('06)を
中古で入手しました。
長い間探していたのでとても嬉しかったです。
物凄く泥臭くて(してみると2ndって凄く洗練されちゃったんだなぁ)、
あ、僕はこっちも好きですよ。



-あと1枚、書けそうだと思っていたヤツがいまいち作文にならず。
ちょっと物足りないのですが今日はこんなところで。

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